なにをクリックしてるかバレちゃうの!?WEB広告の仕組みを解説

スマートフォンやパソコンといった機器でインターネットやアプリを利用するとほぼ毎回見ることになる「広告」のテキストやバナーの数々。
その人の役に立つものもあれば、悪質な方法でクリックさせるようなバナーまで様々ある。

この記事では、いわゆる広告を表示される対象となる「専門知識を持たない一般ユーザー」に、広告ってどういうものがあり、どういう仕組みで表示されているのか、というのを紹介していきたい。
きっと「クリックしたらどんな見えない不利益があるの?」なんてことを、少なからず誰もが気にしたことがあるだろうから。

広告の種類

WEB広告は大きく2種類に分けられる。
「リスティング広告」と「ディスプレイネットワーク広告」と呼ばれるものだ。

おっと!!
よくわからないカタカナが登場したからと言って戻るボタンを押すのは早計だぞ。
ちゃんと説明する。

リスティング広告とは
検索連動型広告とも言い、GoogleやYahooでなにかを検索した時、その検索した単語(クエリという)が広告の表示条件に設定された単語(キーワードという)と合致した場合に表示される広告だ。

リスティングとは:
名簿。カタログ。表。目録。リスト。一覧表。
出展:コトバンク

聞くよりも見るが易し。こちらだ。

ばっちり広告と書いてある通り、赤枠の部分が広告にあたる。
画像の広告は「ぐらぶる」と検索したことによって表示されているもの。
これは広告主(この場合はDMM)がGoogleの広告サービスを使用して、「グラブル」「グランブルーファンタジー」などと検索された場合に上記の広告を表示するようにしているもの。
なので、同じ内容の広告は「ぐるぐる」と検索しても出ることがなく、またスクウェア・エニックスが「ぐるぐる」というクエリに対して広告を出稿していないため「魔法陣ぐるぐる」の広告も出ない。

つまり「何かを探しているユーザーに対して、企業がうちの商品どうですか?」というおすすめをしているものだ。

余談だが出稿にはいくつかルールがあり、刃物などの広告は出せない。
包丁で検索してみると、どの包丁専門店の広告も表示されないのが分かる。(これはGoogle検索での話)

ディスプレイネットワーク広告とは
こちらもまずは聞くより見るが易しで紹介すると、このブログに表示されている広告がそれだ。

ディスプレイネットワーク:
広告を掲載できる200万以上のウェブサイトや動画、アプリの総称。
出典:Comscore

つまり、ほとんどのWEBサイトやアプリケーションがディスプレイネットワークと呼ばれる。
TwitterもLINEもinstagramもそうだし、youtubeもニコニコ動画もAbemaTVもそうだし、amazonも楽天もYahooもそうだ。

この広告は「歩いている人の目につくところに、企業がチラシを貼っている」というようなものだ。

広告の種類は数あれど、基本的にはこの2つに大別される。
ライブに来たファンに次のライブの告知をするのが前者のリスティング広告で、ライブハウスにフライヤーを置かせてもらうのが後者のディスプレイネットワークだ。

広告が表示される理由

なんか最近やたらと婚活系の広告が表示されるんだけど? とか、ある日を境に同じペットフードの広告ばかり表示されるようになった、とか。
そんな経験はないだろうか。あれ。

リスティング広告が表示される仕組みについては上で説明した通りだが、ディスプレイネットワーク広告が表示される理由はいくつか存在する。
それは「ターゲティング」の設定によって決まり、出し分けられている。
ターゲティングの種類は下の通り分けられる。

  • オーディエンスターゲティング
  • コンテンツターゲティング

さらにオーディエンスターゲティングは下のように細分化される。

  • デモグラフィックターゲティング
  • ジオグラフィックターゲティング
  • サイコグラフィックターゲティング
  • 行動ターゲティング
  • リターゲティング
  • 検索キーワードターゲティング

そろそろ頭が痛くなってきた人は、一度深呼吸をどうぞ。

さて、オーディエンスターゲティングとコンテンツターゲティングは簡単に言うと「人」か「場所」かの違いがある。
オーディエンスターゲティングとはその言葉の意味の通り、観客・観衆にターゲティングをしたもの。
対して、コンテンツターゲティングは「(情報の)中身」に合わせてターゲティングしたもの。

分かりやすいコンテンツターゲティングから説明しよう。

コンテンツターゲティングの仕組み
実をいうと、広告が出したい企業がWEB上の特定の広告スペースを選んで広告を表示するということはほぼ不可能だ。
なぜなら、広告スペースの数も種類も膨大になりすぎており、その全容を把握し選択することができないからである。
そこで広告の出稿を効率よく行うためのDSP(Demand-Side Platform)というサービスが存在するのだが、説明を省略しても差し支えないためこの記事では紹介しない。

さて、コンテンツターゲティングの表示方法は至ってシンプルだ。
広告主が上記のDSPを利用し、出したいコンテンツが掲載されているページに出すよう設定するのみ。

例えばニンテンドーが新作アプリゲーム「ドラガリアロスト」の広告を、ドラガリアロストに興味がありそうなユーザーが見ていそうなWEBページやアプリに表示したいとする。
その場合は「ゲーム系」にカテゴライズされているWEBページやアプリの広告枠に表示を出すだろう。
もっと広く広告を出したいなら「ホビー」や「アニメ・ゲーム」とか、もっとピンポイントに絞り込みたいなら「ニンテンドー」や「ドラガリアロスト」といったテキストが含まれるサイトやブログなどに表示をするなど。
ゲーム攻略サイトに他のアプリゲーの広告がたくさん表示されているのはそのため。そのアプリゲーの広告に一番関心を持ちそうなユーザーが訪れるページに表示しているからだ。
海水浴場の側に温泉の看板を立てるようなイメージ、といえばわかりやすいだろうか。

次はオーディエンスターゲティングについて。
このブログ記事のタイトルや冒頭の文章のような疑問を持っているユーザーにとっては、ここが一番大事な部分になる。

オーディエンスターゲティングの仕組み
事前に収集した「ユーザーの属性」情報を利用して広告を表示する。
日本に住んでいる人にだけ広告を表示する。男性にだけ広告を表示する。ペットを飼っている人にだけ広告を表示する。などなど。
それぞれどんな属性があるのか、というのが上で挙げた細分化ターゲティングだ。属性の分け方が違うだけでやっていることは同じ。

デモグラフィックターゲティング
年齢、性別、所得、職業等の属性情報を使ったターゲティング。
そんなのどうやって知るの!? と思うかもしれないが、あなたたちは普段からそれをGoogleや様々な広告サービス業に知らせている。
なにかの会員登録をしたとき、クレジットカードを作ったとき、などなど。
寝耳に水の人にとっては恐怖を煽る仕組みかもしれないが、逆にいうとこの情報がないと表示される広告がてんでデタラメになってしまう。
10代のアルバイト女性に対して、1本数万円の高級葉巻の広告を出しても興味を惹かれることはほとんど稀だろう。
ジオグラフィックターゲティング
IPアドレスや、Wi-Fi、GPSなどの位置情報から所在地を類推して行うターゲティング。
あなたの自宅の位置などはほとんどはっきり認識されている。
カーナビや地図アプリで自動的に自宅だと設定されていたことはないだろうか。
それは毎日夜中に数時間滞在している場所が自宅だと認識されているからだ。
そういう情報を使って表示するのが、このジオグラフィックターゲティング。

例えば大学教授向けの商品があったとする。その広告を出したい相手は当然大学教授なので、広告を表示するIPアドレスを大学の物だけに絞り込めば無駄がないというもの。

サイコグラフィックターゲティング
ユーザーの興味や関心、習慣などを切り口に広告を表示する方法。
だからどうやってそんなことを知るの? と思うかもしれないが、自分のTwitterアカウントでフォローしているユーザーに音楽関連やゲーム関連が多かったりしないか。
癒しアニマル系やダイエット系のツイートによくいいねをしたりしないか。
そういうとこやぞ。

デモグラフィックターゲティングが事実関係に基づいた物であるのに対し、サイコグラフィックターゲティングはもう少し曖昧で、趣味趣向や価値観などに基づく。

行動ターゲティング
その名の通り、特定の行動をしているユーザーで絞り込みを行う方式。
WEBの閲覧履歴、通販の購入履歴、他にどんな広告をクリックしたか、など。

通販でペットフードを買ったら、いろんなサイトでいろんなペットショップの広告を見るようになったなら、それはこの行動ターゲティングで追いかけられている。
ペットショップにとってみれば、あなたは確実にペットに関わっているユーザーであり商品購入に至る可能性がある、ということだ。

リターゲティング
上の行動ターゲティングの一種ではあるが、このリターゲティングだけで実施する広告も非常に多い。
これは行動ターゲティングよりもより明確に「興味を持った」ユーザーを追いかける仕組み。
クリックしてサイトに訪問した人に配信する方法だ。

あなたがお肉屋さんだったとして、「毎日A5ランクのお肉が食べたい……」とツイートしている人と、あなたのお店にアクセスしたことがある人。
A5ランクのお肉を実際に買ってくれそうなのはどちら?

検索キーワードターゲティング
これはリスティング広告と似ている。ユーザーが検索したクエリに基づき、キーワードを指定して配信するものだ。
リスティング広告が検索エンジン上に検索した時に表示されるのに対し、こちらはディスプレイネットワーク上に、広告主が好きなタイミングで表示できる。

このように広告主は無限の組み合わせを行いながら商品を購入・利用してくれそうなユーザーに向けて広告を配信している。
特にリターゲティングとデモグラフィックターゲティングがディスプレイネットワーク広告で使われていないことはほとんどないだろう。
30代の男性が婚活サイトの広告をよく見たり、30代の女性が子育て系の記事をよく見たりするのは、広告主がそのデモグラフィックデータをターゲットとして広告を配信しているからだ。

お金の問題

広告の表示のされ方の仕組みについてはほとんど説明は終わり。
もうひとつ気になるのは、広告を踏んだ結果金銭の請求が発生するのか? ということだろう。

結論から申し上げると、広告をクリックした結果お金を請求されることは決してない。
お金を払うのはユーザーではなく広告主だからだ。

その課金方式は大別して2種類。これを知ると、あの迷惑な「画面真ん中から下りてくるバナー」の正体を暴くことができる。

CPC(Cost Per Click)課金
1クリックに対して、広告主が広告枠を提供しているサービスに支払う課金方式。
繰り返すがお金を払うのは広告主であって、広告をクリックしたユーザーではないのでご安心を。

CPCはクリックされなければ課金は発生しない。広告を見せるだけなら無料というもの。
お得に感じるかもしれないが、実際にこのCPC広告は見られるだけではあまり意味がない。
というのも、クリックしてもらいサイトへアクセスし購入や登録などをしてもらうことを目的としているからだ。
リスティング広告はこれにあたり、またほとんどのディスプレイネットワークもCPCが多い。

さて、裏を返せば広告枠を提供している側もクリックをしてもらえなければ報酬が得られないということ。
もうお分かりだろう。
あの上から下りてくるバナーは「本来興味がない人にも誤操作によるクリックを促し報酬を得る」ためのものだ。

これは広告主にとってはたまったものではない。
アクセスを促しても効果のないユーザーを集めさせられ、課金をさせられる。
しかも広告の仕組みについて知らないユーザーには広告主が迷惑な広告を出していると思われる。

ではなぜ、そんなところに広告を出すのか。
理由は一つ。
「出したくはないが出てしまう」のだ。

これも上述した通りだが、今や広告主が自由に配信枠を選択できない。
無数の広告枠をまとめるアドネットワーク、そのアドネットワークをまとめるDSPがいくつも存在するほどにディスプレイネットワークは膨れ上がっている。
本来出したい広告枠に出稿したものの、同じカテゴリーに悪質な広告枠も含まれてしまっているということだ。

なお、今年の5月以降複数の事業者でこのような広告を禁止する動きがでてきており、また同年2月以降はGoogleは一定の基準を満たさない広告はGoogle Chromeでは表示されなくなるなどの対応を取っている。

CPM(Cost Per Mille)課金
上のCPCがクリックすることで課金が発生するのに対し、CPMは表示されること自体に課金が発生するもの。
Milleは1000という意味で「1000回表示あたり〇〇円」というのが主流だ。

CPCがクリックをさせることに最適化しているのに対し、CPMは表示させることに最適化している。
なにを広告するか、どのくらいの結果を予想するか、などで使い分けられる。

2つに分けられると言ったが、昨今はもうひとつの課金方式が増え、3つの主流となっている。

CPV(Cost Per View)課金
動画に挿入される動画広告に適用されるものだ。
仕組みはCPMと似ているが、表示回数のカウントが再生時間に拠るところが差異だ。

例えば30秒の動画広告があって、これが何秒以上再生されたなら課金が発生するという仕組み。
5秒後にスキップした場合は課金が発生しない、といったものだ。
興味がない広告はすっ飛ばすことで、ユーザーも企業も幸せになれる。

つまり広告とどう接するべきか

さて、広告の仕組みなどに興味を持つタイミングがない人向けのこの記事では、以上で最低限の説明を終わりとなる。
要点をまとめると下の通りだ。

  • 広告はユーザー属性や行動によって最適なものが表示されるように努力されている。
  • ユーザーは広告クリックをはじめとした方法でその属性を提供し、適した広告の表示を増やし興味のない広告の表示を減らせる。
  • ユーザーがクリックにより金銭を請求される仕組みはなく安全。
  • 広告は主にクリックすることで広告枠を提供している側の収入となる。
  • つまりこのブログの広告をクリックすることで著者の私に収入が入り、巡り巡ってご飯を奢ってもらえるかもしれないよ。

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